
フロントガラス雑学
ステッカーの貼り付けはNG
よくいただくご質問として「フロントガラスやドアガラスにステッカーを貼ってもよいのか?」というものがあります。カスタムパーツや塗装など車好きの方のなかには、ガラス面も装飾したいという思いからステッカーを貼ることを希望されるケースがあるようです。
今回の記事では、自動車ガラス(フロントガラスやドアガラス、リアガラスなど)にステッカーを貼ってもよいかどうか? 法令に照らした解釈について解説していきます。
ステッカーの貼り付けはNGです
まずは、フロントガラスにステッカーを貼っても良いのか?という疑問にお答えします。率直に言って、フロントガラスへのステッカー貼り付ける行為はNG(国交省の定める保安基準に対して不適合)です。
したがって、こういった車↓↓ は保安基準を満たしていないことになってしまいます。
画像出典:www.chinahao.com
具体的な法令とは?
フロントガラスへのステッカー貼り付けに限らず、公道を走行する車両には、国土交通省が定める「保安基準」への適合が義務付けられています。保安基準とは、正式には【道路運送車両の保安基準】を指します。
参考:道路運送車両の保安基準 (出典:国土交通省)
上記のリンク先ページをご覧いただくと分かりますが、第29条の「窓ガラス」に関する規定内でフロントガラスへの貼り付けができるものなどが定められています。他にも、第1条「燃料の規格」、第12条「制動装置」、第22条「座席」など、細かい規定が存在します。
これら保安基準の規定は、その名の通り車両の走行(および歩行者など)の安全を保つことを目的とした走行車両に求められる規格です。したがって、安全運転のための法令と理解していただければ十分です。
なぜ、ステッカーは安全ではないのか?
これは、言うまでもなく「運転者の視界を妨げるから」です。フロントガラスなど、運転の視界域を妨げてしまうと、車外の様子が見えず、交通事故の原因になりかねません。安全性の観点から、当然NG!というわけです。
NGなのはフロントガラスだけじゃない
「フロントガラスなど」と書きましたが、フロントガラス以外でもステッカーを貼っては行けいないガラスがあります。それは、運転席、助手席のドアガラス、およびドアガラスの前方についている小さな三角ガラスもステッカーなどの貼り付けは認められていません。
つまり、運転席と助手席のドアガラスより前にある車両前方のガラスにはステッカーの貼り付けは認められていません。当然ながら、これらのガラスは運転者の視界となるため、安全性の観点から禁止されています。
ステッカー以外にもNGなものがある
車両前方のガラスにステッカーを貼ることは禁止されていると書きましたが、ステッカーのほかにも貼り付けNGなものがあります。それは、いわゆるスモークフィルムなどです。
先の保安基準では、安全運転のために車両前方の窓ガラスの可視光線透過率(ざっくり言うと透明度)についても規定しており、この可視光線透過率が70%以下となるような状態は禁止しています。スモークフィルムなど可視光線の透過率を下げて車外から車内を見えなくするわけですから、当然NGとなります。
フロントガラスに貼り付けもOKなものとは?
フロントガラスには一切何も貼り付けてはいけないのか?というとそうではありません。保安基準では下記のものは貼り付けを認めています。
・整備命令標章
・臨時検査合格標章
・検査標章
・保険標章、共済標章又は保険・共除外標章
・故障ステッカー
・バックミラー
・公共の電波の受信のために前面ガラスに貼り付けるアンテナ
・国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの
「公共の電波の受信のために前面ガラスに貼り付けるアンテナ」とは、テレビアンテナやETCアンテナなどを指しています。数十年前には存在しなかった貼り付けタイプのアンテナですが、時代の変化とともに保安基準も徐々に規定を変更していることが分かります。
その他、ドアガラスにおいては、セキュリティラベルが貼ってあることがありますが、これも認可された貼り付けOKのラベルです。
ステッカーを貼っていると車検に通らない?
これも言うまでもないことですが、ステッカーを貼った状態だと、車検には通りません。車検に通らないどころか、「不正改造車」と認定されてしまいますのでくれぐれも注意してください。
違反項目と程度によって異なりますが、道路運送車両法に違反した場合、数年単位での懲役または数百万円以下の罰金が課せられます。細かい規定が気になる方は、国交省の交付する罰則規定を参照してください。
国土交通省も年々、不正改造の取締を強化しています。
不正改造が法令違反であることはもちろん、ドライバーの安全運転の責務を果たし、不幸な事故につながるような行為はくれぐれも控えるようにしてください。決して軽い気持ちでステッカーを貼ったりしないようにしましょう。
どうしてもステッカーで車両をおしゃれにしたい! という方は下記を参考にしてください。
ステッカーを貼っても良い場所
リアドアガラスなど車両後方の一部の窓ガラスはステッカーの貼り付けを禁止されていません。(リアガラスは車両バック時の視界の妨げになりますので、ステッカーは禁止ですが、リアドアガラスはOKと解釈して良さそうです)
また、運転視界に支障をきたすことのない車のボディもステッカー貼り付けはOKです。愛車の装飾やおしゃれを楽しみたい方は、こういった保安基準で禁止されていない場所へのステッカー貼り付けで我慢してくださいね。